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こんな風に日々の色々を考えてみる

緑地計画・造園学な研究者。欧州を中心に、世界のあちこちに出没。大衆的目線からいろいろ捉えてつづります。 メインHP → http://npom.ehoh.net/

ヨーロッパでの夢追いアカデミア就活(前編)

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ヨーロッパでの夢追いアカデミア就活(前編)

ここ2、3年くらい、ヨーロッパで研究員か大学教員として正式に働いて自分の力を試したい!と思い、いろいろなものに応募していました。案外そういう話は世の中にないので(アメリカは結構ある印象)、思い出すままに書こうと思います。

前提として、私の専門は緑地計画学(Landscape planning)、農学部出身の都市計画学寄りなので、かなりマイノリティで、他のメジャーな分野とは細かい事情は違うと思います。

以下に応募しました。

1)フンボルト財団(2015)
2)DAAD研究奨学金(長期)(2015)
3)マリー・キュリー・フェローシップ(MSCA: Marie Skłodowska- Curie Action)Standard European Fellowships (EF-ST)(2018)
4)外務省在外公館専門調査員(2019)
5)英国ケント大学ポスドク(2019)
6)オーストリア政府奨学金(2019)
7)ミュンヘン工科大テニュアトラック付き助教(2019)

結局は概ねどれも微妙なところで落ちるか、ビザの関係で辞退したかなどして、そうこうするうちにコロナもあり、日本に落ち着いています。

すべてではないですが、ドイツ関係で選考が延びる延びるみたいな展開があったので(欧州全般での役所の手続きや国際会議の締切延長等々を思うとそうだなという感じ、個人の事情や柔軟性を尊重しているといえばそうですが)、色々大変だし刺激は少なくなるけれども働くとなると日本はしっかりしていて安心なのかもなぁ…と思ったのが全般的印象です。

1)フンボルト財団
まずフンボルトのフェローシップですが、これはドイツでポスドクするのによい応募先です。お給料とか研究費(確か)がもらえるはずです。

ただし、私が応募したのは博士号取り立てくらいで、受け入れ先候補の先生は快く支援してくださったものの(内容に指導などは入らず、必要な書類等をさっと出してくださったという意味で)、これはあまりにも稚拙な申請書や業績だったので問題外に落ちました。

このフェローシップは随時応募受付しているのですが、この先のヨーロッパあるあるに繋がりますが、選考システムを紙ベースからオンラインベースに変えて慣れてないので、いつもより選考時間がかかります、ごめんね!
とウェブに書いてあって、さらに応募から1年経ったくらいに、審査員の審査結果を集められなかったからもう半年延びますみたいな連絡があり、本当に1年半くらいかかったような気がします。次の職を並行して考えていると、そんなに待てないですよね。

メールを遡ったら、2015年11月に応募、2016年10月に審査が遅れている旨、2017年3月に結果が来ていました。
そうこうしているうちに、2016年3月には今の助教ポスト(任期付き)をいただいていました。

受け入れ先候補の先生は、私の周りのドイツにゆかりのある先生方にお聞きして、ご紹介いただきました。日本にいらしたことがあるなど、日本に理解や好意のある先生の方が何かとスムーズと思います。


2)DAAD研究奨学金(長期)
受け入れ先候補はフンボルトと同じところにお願いしていました(同時に応募していた)。

7~12ヶ月(今はそう、おそらく当時も)しか行けず、月額1200ユーロ+旅費+研究費なので、通っていたら割とつつましい生活しか送れず苦しかったかなと思います。
研究が英語でできる分野・受け入れ先なら英語でも大丈夫です。でもこのとき無理してドイツ語で面接を受けたような気がします。

結果は落ちました(予算次第で合格的な、補欠合格だったような)。短いし支給金も少なめなので、それもそれでと思います。
いつか、大学教員向けのやつで、1~2ヶ月行けるものに応募したいですね。


3)マリー・キュリー・フェローシップ 欧州フェローシップスタンダード
お給料よいです。研究費も結構もらえます。ポスドクとしてはとてもよいですし、認知度も高いので、とれればキャリアに箔がつきます。

私は2018年9月締切で応募しました。結果が出たのは2019年2月です。
なんだかいろいろ種類があって、長い応募要項見るだけでわけわからなくなります。応募したのは、(たしか)EU外からどこでも応募できて2年間研究できる、EU-ST(欧州フェローシップスタンダード)というものです。

EURAXESS JAPANという麻布の凄そうな土地にあるヨーロッパハウスで、毎年このフェローシップに応募するためのお手伝いワークショップみたいなのがあるので、参加すると申請書のコツやトレーニングを提供してくれます。Grants in Practiceというイベントです。

入るとき、大使館のように荷物検査されますが、気軽に参加できます。

なお、EURAXESSはその他、ヨーロッパと日本の研究界を繋げるいろいろなイベントをしているので、ニュースなどフォローするのはおすすめです。
しかもイベントで無料提供してくださるランチやディナーブッフェの豪華なこと…いまはコロナで難しいでしょうが…

日本の学振みたいな感じで、2ch(いまは5ch?)の学振スレみたいなものがこのフェローシップ関連でもどこかで立っており、なかなか結果が出てこなくてみんな焦っている状況を私も眺めてソワソワしていた記憶があります。結果を見る裏技みたいなのも出てたりして、どこの国もやることは一緒だな…と思った記憶があります。

結局は、100点中88.2点で、あと何点か足りなくて通りませんでした。
項目ごとに点数がつけられて、合算して100点換算されるという感じです。

見た感じ、スケジュールぎちぎちに詰め込んで、あれもこれもやろうとしたので実現可能性がないと判断されたようです。それがなければ通っていたような気がします。

受け入れ候補先には、(当時はアーヘンにもあり)ドルトムントに本拠地を持つ都市計画系の研究所でした。このフェローシップの特徴は申請書を受け入れ先機関も本気で書かないといけないパートが多く(受け入れにふさわしい理由、相互のメリットなど)、かなりのやりとりを経て申請書をこさえることになります。

長さもパート1(研究の内容やインパクト、計画など)が10ページ、パート2(CV的な)が7ページと、英語の申請書に慣れていない人はつらいレベルです。
日本の学振や科研費申請書が可愛く思えてきます。
論文然りですが、欧米の方が何かと長いですよね…

ここまで頑張ったので、少し直して次年度再挑戦!でもよかったのですが、そのころにはミュンヘン工科大の面接にも進んでいたので、応募をしませんでした。またいつか、思い立ったらしてもいいかなと思いますが、2年間だけ、ポスドク扱いに戻るのはもう非現実的かもしれません。

なお、受け入れたらお世話をしてくださるはずだった方にも、ミュンヘン工科大の推薦書を書いていただいていました。ニュージーランドにいる共同研究者の先生とも繋がっているので、いろいろあって、関係は(おそらく)続いています。
落ちちゃったけど、申請書つくるの楽しかったわよ、と言っていただけたのでありがたかったなと思います。また何かの機会でお世話になるでしょう。

その方とは、国際会議で知り合いました。欧州の都市型農園の研究プロジェクトを主導していた関係で会議を開催しており、そのときにご挨拶して、プロジェクト成果物を日本語にも翻訳します!と言ったりしたので、認知してくださったという感じでした。

申請書打ち合わせのためにアーヘンに滞在したり、ドルトムントでミーティングに参加させてもらったり、審査員経験のある人にアドバイスをいただけたり、欧州流の研究マナーを学ぶにはとてもよい経験でした。

ただし、受け入れ先研究所には日本人の方もいて、ここは契約などの期限が切れたあとは何もサポートがないから本当に来たいのかはよく考えたほうがいいよ、とも言われていたので、ある意味結果オーライだったのかもしれません。

何しろわかりにくいと思いますし、身近に受けた人も日本ではあまりいないと思うので、質問がありましたら問い合わせていただければと思います。年齢制限は特にないです。キャリアが浅い必要もありません(でも待遇的にはやっぱり若手が中心的に応募しますよね)。

4)専門調査員

ドイツの大使館に応募しました。気候変動の国際約束に関する調査担当業務だったと思います。
筆記(小論文など)の1次は通りましたが、2次で面接したときに、なんで大学の先生なんてやっている方がここに…って感じの反応をされたので、そういうことだったのかなと思います。落ちました。

他の方に、これに応募していたというと、いや普通のアカデミアにいたほうがいいでしょう、もったいないという声をよく受けました。これも結果オーライだったと思います。

気候変動の政策に関する国際関係の変遷についてはこの機会にかなり勉強して、小論文もばっちりヤマを当てたので、よい勉強になりました。


長くなったので一度ここで記事を切ります。続きはまた後日に書こうと思います。

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